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腕や、肘、手首はエネルギーを流すために使いましょう。
前回「脱力の本質と必要性」のテーマで、「脱力」とは響きのある音をならすため、指先までエネルギーを流すために無駄な力を抜くこととご紹介しました。
今回はその延長です。
早速ですが、『竹を流れる流しそうめんを想像してみてください。』そうめんは竹の中を水が流れてくることによって進んでいきますよね。では、もし途中に大きな石があって通せんぼしてたら・・・?そうめんは止めってしまいますね。これがピアノで言う「力み」としましょう。では石が無かったとしても、竹が登り傾斜になっていたらどうでしょう・・・これは問題外ですね。または、そもそも水が止まっていたら・・・?そんな流しそうめん現実にはあり得ないわけですが、笑💦
ピアノを弾く際もこれと同じことが言えます。音を出す際には背中の方から呼吸するイメージで・・・その呼吸によって流れがつくられて、リラックスした状態の肩→腕→肘→手首がサポートして、エネルギーをベストな状態で指先まで届けます。
音を出す際のイメージ
実際に弾く時って指を動かすのに必死になってしまうから、自分がどうやって体を使っているのかを把握している人は少ないんじゃないかな...と思います。
ここでは体の使い方について紹介していきます。
あなたの目の前に木琴、鉄琴があるとします。想像するのが難しかったら実際にガラスのコップを使ってみましょう。それらを響かせるために、あなたはどのようにバチ(ガラスの場合は箸で良いです。)を使いますか?
力を抜いた状態で手首を柔らかく上下にしならせて音をならしますよね。
実はこの時の音の鳴らし方とピアノの鍵盤を弾くときのイメージは同じです。
では逆に手首をしならせないで固定して鳴らすとします・・・・不思議なことに先ほどに比べて響きのない固い音が出ますよね。
鳴らす物も鳴らしているものも同じなのに、鳴らし方が違うだけで全く違った音が出るんです。
肩、腕、肘、手首の役目
脱力の際に力を抜けということで、ただ幽霊のようしてろと言われたかに思われたこの4部分ですが、実は重要な役目があります。
それがエネルギーを流す役目です。
先ほどのコップ実験の時のように手首、肘、肩は固めず固定せずにリラックスした状態で、弾いている際も僅かにでも常に柔軟に動いているのが理想的です。
手首や肘を柔らかく自由な状態にすることによってエネルギーが流れるからです。
ですが、「自由」という言葉もなかなかわかりにくいですね・・・
ここでまた実験です。
机を鍵盤だと思って両手を置き、力を抜いて右手は手首を反時計回りに、左手は時計回りに軽くスクロールしてみてください。この時肘も腕も一緒に動きますね。
実はこの動きの流れで弾けるのがベストです。
右手の場合は、音が高くなっていく時(鍵盤の音が右に移動するとき☆ドレミファソラシド)は肘や手首もそれに合わせて外側にスクロールさせましょう。
逆に音が低くなるところは(鍵盤の音が左に移動するとき☆ドシラソファミレド)は肘や手首もそれに合わせて内側にスクロールさせましょう。
左手の場合は右手とは逆になります。音が下がっていく時(ドシラソファミレド)は肘や手首も外側にスクロール。上がっていく時は(ドレミファソラシド)内側にスクロールです。
この時気を付けることは、指がフニャフニャにならないこと・・・あくまで指がきちんと打鍵してる上でのことになります。
このスクロールの動きが、リラックスした状態で自然に起こる動きであり、脱力を成功させるために大事なことになります。
つまり腕や肘、手首、そして肩から力を抜き、指の動きに乗せてそれらの部位が自然に動いていること(スクロールしていること)により指先にエネルギーが行き届き、弦を響かせることになります。
「脱力」と一言に言っても、結構奥深いですよね。でもこの理論が少しでも知識として頭に入れば、無知で弾くのとは明らかに違ってくるでしょう。練習の際は少しずつこのしくみを実践してみてください。