「チェルニーの本当の目的」STEP3です★(*^-^*)
STEP1、STEP2と読み進められた方の中に、「チェルニーをもう一度弾いてみたくなってきた!」という方がいらっしゃったらとても嬉しいです!
前回はチェルニー30番練習曲の1番の楽譜を読んでいきましたね。しかし、
「私は音楽の本格的知識なんか無いから、1人で楽譜を読んでそこから考えるなんて無理・・・」と興味はあるものの、楽譜を読み取る作業をすることに心細さを感じる方も少なくはないと思います。
何が正しいのか、それが分からなかったりもしますよね。
でも諦める必要はありません。
自分に分かることからで良いので、少しずつ楽譜に耳を傾けてみましょう。
大事なのは正解が何か・・・を考えるのではなく、あなたが真剣にその音楽と向き合うということだと思います。
全然わからなくても、楽譜を見ながらプロの人の演奏やCDを聴いたりすることも非常に勉強になります。
どのように記号を音にしているか・・・自分の演奏と何が違うか...そう言った作業を繰り返すことで、あなたの聴く耳は非常に養われます。
耳が良くなれば、ピアノの上達は非常に速くなります。もっと言えば聴こえなかったものが聴こえるようになります。
音楽の勉強は曲のレパートリーを増やす喜びも勿論ありますが、深く勉強しようと思えば、もっともっと素晴らしい魅力的な世界を感じることができるようになります。
チェルニーは一見指の練習の教材とも思えますが、こういった本当の音楽の基礎ともいえることを勉強するのに非常に優れています。
何が何だかよくわからない方も、ちょっと勇気を出してチェルニーともっと向き合って勉強することを私はお勧め致します♪
今回は18番を一緒に見ていきましょう☆
目次
強弱の変化に伴う音型の変化
STEP2でも同じことをやりましたが、今回もその復讐として、先ずは強弱の変化に伴った音型の変化を見ていきましょう☆
先ず18番の楽譜を見て気づくことをいくつかあげていきましょう(^^♪
何でも良いのです。アナタなりに気づいたことを上げてみてください。
- 拍子は4分の4拍子
- ♭3つの変ホ長調。
- 音階(スケール)が沢山。
- トレモロも出てきますね。5、6小節目や13~15小節目
- フレーズが長い。
まぁ第一段階の観察はザッとこんな感じでしょうか。
あなたはどんな発見をしましたか?
次に第二段階★更に掘り進めましょう。
Q1・・・どんなところがフォルテ(強く)でどんなところがピアノ(弱く)になっていますか?
フォルテはスケールのところに付いていますね。
ピアノはトレモロのところに付いています。5小節目のトレモロにはdolce(甘く、柔らかく、とろけるように)も書いてありますね。
Q2・・・冒頭から6小節目の終わりまでの左手はどうなっていますか?
そう!だんだんと短くなっていますね。
- 1,2小節目は全音
- 3,4小節目は4分音符
- 5,6小節目は8分音符
音の長さのこうした変化はたまたまではありません!必然的に作曲家がしたものです。
冒頭はフォルテで力強さを表しているので和音にアクセントまで付いていますね。
そして3,4小節目はdimに向かって4分音符になり、5小節目のピアノではdolceの感じを助けるかのように左手は8分音符になっていますね。
単純に見える前半部分でもこれだけ変化があり、音色の質にも変化を要求されているんです。(*^-^*)
スケール(音階)の弾き方
さて、この曲は音階の練習と言ってもよいほどスケールだらけですね!
実はただの音階に思われがちなスケールにも音楽があるんです。
スケールをどのように弾くかで、その人の実力が大体は分かってしまうぐらい、実はスケールには基礎的な音楽要素がつまっています。
スケールは鍵盤にただ音を並べて弾いてはいけません。
1音1音の意味が聴こえてくるように弾かなくてはいけないんです。
スケールの中を流れる音楽
- 昇っていく音楽は緊張。
- 下がっていく音楽は緩和。
音楽にはこのような原則があります。これは息の流れに伴った自然な流れを表しています。
代表的な歌として魔笛の夜の女王を思い浮かべましょう。
音が上がるときは一気に上りますが、下りてくるときはエネルギーが緩まっているんですね。
これが見えない自然な息の流れです。
ピアノを弾く時は呼吸をしなくても音が出るので、音楽の中に常に流れていなくてはならない呼吸の流れをつい置き去りにして指だけ動かそうとする傾向にありますね。(‘_’)
それではもう一度楽譜に戻りましょう♪
出だしは昇りですが、この昇っていくエネルギーはどこから来ていると思いますか?
これは最初の8分音符(♪)のリズムに溜められたエネルギーがその放たれた勢いで昇っていってるんです。
左手のアクセントもその1拍目からのスイングを助けています。
ですから1拍目の音は鍵盤の深いところできちんと音をならしましょう。
この時、手首のスクロールも忘れずに!音を伸ばすときは手首や腕を楽にして外側にスクロールさせて音の伸びを感じて弾きましょう。
そのエネルギーの勢いで上向形を一気に弾きます。
2小節目は「ファミレミ」は軽やかにレガートを意識してください。私のイメージでは「優美に」です。指使い4323がバラバラに動かないように手首のスクロールを利用してレガートをかけましょう。
2小節目最後の「ファミレミ」は3小節目冒頭の「ソ」に向かって弾きましょう。
4小節目のdimは小さい山を利用し、3、4拍の上向形は一気(一息)で。
5小節目のトレモロの音型はエネルギーの緊張です。ばたばた弾かずに音程の揺れを感じて柔らかくゆらゆらしているイメージで弾きましょう。
7小節目からはまた昇りスケールなので、ゆらゆらしていたのとは一転して一気に力強く上がります。
17小節目からは両手でスケールですので弾きにくいところですが、エネルギーの方向性は片手で弾く時と一緒です。上向形は一息で。下降形は気持ちゆったりと。
音の粒を揃えて弾けるようによく練習しましょう。また、17~20小節目の各小節の最高音を見てみましょう。
17小節目は「ミ」、18小節目は「ファ」、19小節目は「ラ」、20小節目は「ド」と少しずつ上がっていっていますね。この間はクレッシェンドが書いてありませんが、音程の上向はエネルギーの高まりを示します。急激にクレッシェンドをする必要はありませんが、エネルギーが高まっていることを意識して弾くと良いでしょう。
最後の小節はテンポを遅くせずに。しかし音型が23小節目と変わっていますね。音型を楽しんで軽やかに弾ききりましょう。
ピアノはどうしても指だけに夢中になりがちですが、こうした音型に伴った息の流し方を考えること、コツを掴むことでとても自由に弾くことが出来ます。
特に音階の音楽は非常にワクワクします。
分からなくなったらプロの演奏を聴いてみることで、どのように弾いているのかよく聴いてみましょう★
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